1月18日(月) Cool Night (Paul Davis)

 Lupia and McCubbins 第1章翻訳終了.夏までには翻訳を終わらせたいが,
どうなるか.Peter Ordeshook. 1992. A Political Theory Primer. Routledgeも
読み出した.これはLupiaも教科書に使っている.
 16日水曜日にCampbellの日本政治のproseminarに顔を出す.reading
assignmentの中に,Steven Reed. 1993. Making Common Sense of Japan.
University of Pittsburgh Pressがあった.これは自分で買ったことがある本で
あるが,読み返すとやはり面白くていい本である.特に日本について彼が学生
に講義してきた経験談のくだりなど,大学教員にとっては,涙なくして読めませ
んという感じである.それ以外にの読み所としてはやはり,rational choice批判
と対抗アプローチとしてのstructural learning approachの提示のところだろう.
面白いのは,Reedはrational choiceを"poor psychology"であり,間違った前
提から正しい議論などできないとしている一方で,game theoryについては
structureを記述・分析する有効な手法な手法として認めているところである.
 またこのセミナーであらためて,合理的選択アプローチによる日本政治分析
がそう多くないことに気づく.投票行動以外だと,あとは政治家―官僚,政治
家―選挙民の間をprincipal-agent modelで分析するという程度か.歴史解釈
に合理的選択を使う試みはいくつかあるが,歴史に含蓄のある研究者からは,
事実関係の無知や誤認が指摘され,かえってrational choiceの説得力を低下
させているもフシもある.
 ただ,Ordeshookが述べるように,
「前提の曖昧な分析が,前提の明快な分析よりもより一般的(general)であるな
どということはありえない」(A Political Theory Primer., p.4)
というのも確か.自分の議論の前提に自覚的でなければならないのは,誰し
もに共通であろう.
 
 Ann Arborはようやく本格的に雪景色という感じ.今夜も寒くなりそうである.
It's gonna be a cool night...

 

2002年1月